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めがねに関するさまざまなコラムをお届けします。
「パソコンと遠近両用メガネ」のお話
パソコンと遠近両用の話をしたいと思います!
といっても、ブルーライトカットのことではなく、度数と設計のお話です。
ちょっと長くなるので、読むのが面倒な方は最後の方だけお読みください。
皆さんは「めがねの荒木」で視力測定をするとき、こんな質問をされたことはないでしょうか?
「普段パソコンは使いますか?」
「何時間くらい使いますか?」
「デスクトップパソコンですか?ノートパソコンですか?」
「画面の距離は?高さは?(メジャーを出してくる)」
・・・あまりの執拗さに「どれだけパソコンに興味津々なんだよ。」と突っ込みたくなる程かと思いますが、でも、私達にとっては、これ、かなり重要な問題なんです。
特に、遠近両用をご希望で、デスクトップパソコンを長時間使うという方。
極端に言うと、遠近両用はあまりお薦めしません。(特に、遠くがしっかり見える遠近両用の場合)
理由は遠近両用レンズ(遠中近レンズ)の構造。
遠近両用レンズは、下の図のように、レンズ上方が遠方度数、レンズの下の方に行くにつれて、中間度数、近方度数と徐々に変化していきます。
つまり、まっすぐ正面を見たときに遠くが見える度数になっていて、視線を下に降ろしていくに従って中間距離、そして近くが見えるようになる、という構造になっています。
「遠く」「中間」「近く」の距離の定義は難しいところですが、説明のため、今回は遠くは5mくらい先、近くは40センチくらいまで見える遠近両用メガネを作ったと仮定しましょう!
さて、パソコンの話に戻ります。
目からデスクトップパソコンの画面までの距離は人によって様々ですが、多いのは70㎝~50cmくらい。
ちょうど「中間から近く」にあたる距離で、先ほどの遠近両用メガネでいうと、少しだけ視線を落としたところで見える距離です。このあたり。
ここで、思い浮かべてほしいのは、デスクトップパソコンの画面を見るときの視線と姿勢。
メガネをかけて、ちょうど顔の正面にあるパソコン画面を見ているところを想像してみてください。
・・・視線、レンズの上の方を通っていませんか?
ノートパソコンだと、画面の位置(高さ)が比較的下の方にあるのでまだ良いのですが、
デスクトップパソコンの画面は位置(高さ)が高いことが多いので、
遠近両用メガネで通常の姿勢で画面を見ようとすると、
「中間から近く」の距離にあるパソコンを、
「遠く」が見える度数の部分で見てしまうことが多いのです。
そうすると、合っていない度数で画面を見てしまうことになるので、目が疲れてしまいます。
「顎を上げてレンズの下の方で見る」という方法もあるのですが、長時間その姿勢だと、今度は首や肩が疲れてしまう・・・という結果に。
さらに、遠近両用レンズには、どうしてもレンズ側方の「ゆがみ・ぼやけ」が生じます。
特に、遠近両用だと、「遠く」がメインになるので、「中間から近く」を見る部分の側方の「ゆがみ・ぼやけ」が多くなり、横視野が狭くなってしまうのです。
手元をちょっと見るくらいなら気にならなくても、パソコンの大きな画面を見ると、側方のボヤケが気になり、見にくく感じる、という方も多いです。
「遠近両用を作って、遠くも近くも見えるようにしたのに、パソコンが見づらいし、疲れる!」
ということをお客さまからよく聞きますが、その遠近両用の度数が合っていないわけではなく、使いたい場面と遠近両用の構造が合っていないということも多々あります。
「じゃあ、どうしたらいいの?」という方。
オススメは、「中近レンズ」「近々レンズ」を使うことです。
「中近レンズ」は、大体1~2メートル先から手元40~30㎝まで見えるレンズ。
(処方の仕方やアイポイントの取り方によっても違いますが、だいたいそんなイメージ)
「遠近両用レンズ」ほど遠くは見えませんが、「遠近両用レンズ」よりも中間距離が広く見え、手元が見える度数が上の方に広く取ってあるので、パソコンが比較的楽に見えます。
室内ならある程度見えるので、パソコン作業が多いけれど、掛け外しが面倒という方におススメです。
近々レンズは大体70~60cmくらいから、手元40~30cmくらいが見える奥行きのある手元用レンズ。
(処方の仕方やアイポイントの取り方によっても違いますが、だいたいそんなイメージ)
レンズの上の方、つまり正面を見たときに、ちょうどデスクトップパソコンの画面くらいの距離にピントが合いやすい構造です。
遠く~中間はぼやけますが、「1日パソコンに向かっている」「デスクトップパソコンの画面が高い位置にある」という方はこちらがオススメ。
他にも、「パソコンの距離に合わせた専用メガネを作る」という方法もあります。
とはいえ、「運転もするから遠く用のメガネも必要だし、予算もあるからそんなに何本も作れないよ~」という方もいらっしゃるでしょうが、とにかくお伝えしたいのは、「遠近両用メガネ」を作ればなんでも見える、ということではなく、目的に応じて処方の仕方やレンズの選び方を変えないと、本当に使いやすいメガネは作れない、ということなのです。
なので、私たちがメジャーを持ち出して、皆さんのパソコンについて根掘り葉掘り聞いてきても、どうか怪しまず、詳しく教えていただければ幸いです。
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