[衣笠店] 2022-07-03
難聴は、先天的なものと後天的なものに大別できます。
後天的なものの中で多いのが、
年を取ることで起こる「加齢性難聴」です。
それ以外の後天的な難聴の中でも、
工場騒音等による「職業性の難聴」や、
イヤフォン等の不適切な使用による「イヤフォン難聴」が
社会問題として取り上げられます。
それに加えて最近は、
趣味としてのスポーツによる聴力のダメージも注目されています。
楽しいスポーツで難聴になるなんて嫌ですよね。
どんなところに注意すべきなのか、
普段スポーツをしている方はぜひご確認ください。
スポーツが原因で発症する難聴の主な原因は、大きくは下記に分けられます。
・大きい音を聞く
・耳に衝撃を受ける
・耳に炎症が起こる
・耳に圧力を受ける
まずは「大きい音を聞く」からご説明します。
スポーツをする環境によっては、大きな音を断続的に聞くことがあります。
スポーツジムの大音量のバックグラウンドミュージック、
スケートボードパークの雑音、
車やバイクの走行音などです。
射撃や陸上で銃声のような音を聞くことでも起こると言われています。
音の大きさは、デシベル(dB)という単位で測定します。
●通常の会話は60dB程度です。
●それより大きい85~100 dBの音は、6~8時間連続して聞くと耳を傷める可能性が高くなります。
●さらに大きい110~180 dBの音は、レベルによっては30分も経たないうちに耳を傷めてしまいます。
次に、「耳に衝撃を受ける」ことで起こる難聴についてです。
この難聴で有名なのが「剣道難聴」と呼ばれているもので、
剣道愛好家には難聴者が多いことが報告されています。
その原因は、まずは音の大きさです。頭部を竹刀で叩くと、
その打撃音の大きさが耳の奥のパーツ(内耳と呼ばれる部分)を
傷つけると考えられています。
順天堂大学の研究によると、
竹刀による打撃時の音圧は、約120dBとかなり大きな音になります。
また、竹刀で叩く振動が骨によって直接内耳に伝わって、
その振動で内耳が傷つくという点もあります。
長年の練習で衝撃が蓄積して、
聴力障害が発症すると推測されています。
耳鼻科の先生によると、難聴に加えて、耳鳴り、耳閉感などの症状があらわれることもあるそうです。
剣道難聴を予防するために、
衝撃を吸収する剣道具の開発研究が進められています。
また、定期的な聴力検査の実施、クッション材の使用や、
防具の付け方の工夫など、様々な予防対策が導入されているそうです。
ぜひこれらの対策を行って、安全に剣道を楽しんでください。
○水泳と「外耳炎」
水泳などの水に触れるスポーツの場合、
水が耳の中に入って「耳に炎症が起こる」場合があります。
耳あなの入り口から鼓膜までの部分で炎症が起こる「外耳炎」が良く知られ、
ひどくなると、耳が痛くなったり、聞こえが悪くなることがあります。
耳に水が入ったとき、耳あなの中の耳垢がふやけて菌が過剰に繁殖し、
炎症が起きることがあります。
また、逆に耳掃除をしすぎて耳あなの皮膚が傷ついている場合は、
その傷から炎症が起きることがあります。
軽い外耳炎は通常、治療すればすぐに良くなります。
しかし治療せずに放置して炎症が進行すると、
慢性的な外耳炎になり、難聴が起こることがあります。
泳いだ時などに耳の中に水が入ったら、
放置せずにしっかり出すようにしましょう。
ただし、あまり強くゴシゴシと擦り過ぎるのもよくありませんので、優しく行ってください。
「耳に圧力を受ける」スポーツは、ダイビングが有名です。
登山などでも気圧差の影響を受けますが、
ダイビングの方が深刻です。水圧が耳にかかってくるからです。
ダイビングで水深30mまで潜ると、
水圧は地上の気圧の4倍になります。
この圧力は耳にもかかってきます。
耳の中の空気圧を調整しなければ、
水深3mで鼓膜は破れてしまうと言われています。
この空気圧の調整が「耳抜き」です。
耳抜きの動作をすると、
鼻の奥にある管を通じて空気が鼓膜の内側に入り、
耳の内側の圧力が外部と等しくなります。
ですが耳抜きがうまくできない場合、
鼓膜内外の気圧差で中耳炎になることがあります。
「潜水性中耳炎」です。
これを繰り返すと聴力に影響を与えることもあります。
花粉症や風邪で鼻が詰まっていると、
耳抜きがしづらくなってしまうことがありますので、
体調がすぐれない時はダイビングを避けたほうが良いでしょう。
急激な気圧変化による耳のダメージは
ダイビングだけではありません。
各種の格闘技、柔道やラグビーなど、
耳付近を強く打つ可能性があるスポーツを行う人は、
気圧で鼓膜が破れる「外傷性鼓膜穿孔」にも気をつけてください。
スポーツ中に耳を守るためのヒント
●できれば大きな音によるダメージを軽減しましょう
●水に触れるスポーツの前後は、耳ケアを正しく行いましょう
●急激な気圧変化から耳を守るため、耳抜きをしっかり行いましょう
●耳付近への強い衝撃を避けましょう
スポーツの後に耳の不快感が何日も続く場合は、
早めに耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。
感染症を引き起こしたり、耳の機能に障害が起こったり、
聴力に影響が出ることもあります。後遺症を起さないためにも、
専門家の耳鼻科医に相談することが重要です。
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